フレンチの名店『Le Jardin Gourmand』オーナーシェフ、小山賢一氏が見つめるフランス料理の未来

GASTRONOMY

広電古江駅から歩いて5分、閑静な住宅街を進むと、緑に囲まれた赤壁の一軒家が現れる。広島のフレンチシーンを牽引する名店「Le Jardin Gourmand」である。アイアンワークの門をくぐり、木陰が心地よいスロープを登っていくと、まるで異国に迷い込んだような静かな空間が出迎えてくれる。

シェフの小山賢一氏は、本場スイス、フランスでフランス料理を学んだのち帰国し、自身の店となる「Le Jardin Gourmand」を開店。過去に2度出版された広島版ミシュランでは、どちらも星付きレストランに評されている。

開店から28年目となる現在も上質を求める方々から愛され続けている、Le Jardin Gourmandのシェフ小山氏にお話を伺った。

『Le Jardin Gourmand』という存在

広島のみならず全国からの客足が途絶えないLe Jardin Gourmand。一方で、同業者との関わりも精力的だ。国内外でたびたびコラボレーションを行っており、お互いの知識や技術を余すことなくぶつけ合い、さらなる高みを目指している。フレンチシーンを牽引する存在のLe Jardin Gourmandの役割を、小山氏はどのように捉えているのか。

「たとえば、使う素材について、僕は本当に信頼できる方のものを長く使っていきたいと思っています。素晴らしい生産者から仕入れた素晴らしい素材、その価値を、料理を通じてお客様にお伝えできればと思っています。そうして料理だけでなくその背景までも味わっていただくことで、うちのお店だけではなく関わる方や業界全体で良くなっていきたいという思いがあります。」

フレンチシーンがこれからも永く続いていくために。小山氏は、料理だけでなくその背景すべてに向き合い、使命感を持ってキッチンに立っているのだ。

一皿に込めた想い

Le Jardin Gourmandでは、地元の食材を中心とした料理の数々を味わうことができる。そのどれもが、小山氏の手により丁寧に調理され、素材の素晴らしさが最大限に引き出された一皿となって、お客様の待つテーブルに運ばれる。

小山氏がその一皿に込めた想いとは。

「食べて美味しい、ということだけではなく、そこに至るまでのストーリーに思いを馳せていただければと思っています。」

Le Jardin Gourmandの一皿には、生産者の方々の大変な苦労やそこにかけられた時間、愛情といった多くのストーリーが、料理とともに盛り付けられている。お腹を満たすことや美味しさだけではなく、その『背景』までも味わう感性や教養、人間性が備わって、初めて味わい尽くせる一皿なのだ。

次世代に受け継ぐ

小山氏が初めてフランス料理に触れた当時は、今のようにインターネットもない時代。書物を探しては買って、自分で試すということを繰り返していたという。そんな日々を過ごしているうちに、気づけばフランス料理に恋をしていたのだとか。

現在はフレンチシーンを牽引する立場となった小山氏。現在のフレンチシーンに対してどの様な想いを抱いているのだろう。

「広島にも、30代40代と、それぞれの年代ごとに若いオーナーシェフが現れていて頼もしく感じます。年代は関係なく、同じフランス料理をやっている者同士、これから先もフランス料理が続いていくために肩を並べて行きたいですね。フランス料理の未来をつくるという目的において、若い世代のシェフ達と上手くコミュニケーションを取っていくことも、大切なことだと考えています。」

今年2018年、広島を大規模な豪雨災害が襲った。広島には自粛ムードが漂い、どこか活気を失った雰囲気であった。そんな折、小山氏はとあるフレンチレストランのオーナーシェフとコラボレーションイベントを企画していた。どんな時も小山氏が見つめるのは、『全体が良い方向へと向かうために、フランス料理を通じて自身に何ができるか』だと感じる。

Le Jardin Gourmandを愛してくれるお客様、素晴らしい素材を届けてくれる生産者の方々、同じフランス料理というカテゴリで肩を並べるオーナーシェフ達、そしてフランス料理の未来ーー。そのすべてを背負って、小山氏は今日もキッチンに立っている。

未来

人としての豊かさをつくること

1700~1800年代に活躍したフランスの法律家・政治家で、美食家としても有名なジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランが残した有名な言葉に、“どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう。”という言葉があります。それほどにまで、食というのは人に強く影響を与えるのです。

食によって人が成長し、人類が成長し、人として豊かになることにつながる。そうして、僕らが日々やっていることが人類の未来に豊かさを作っていけたら、一番嬉しいですね。

取材先情報

会社名(店舗名)Le Jardin Gourmand(ル・ジャルダン・グルマン)
ご担当者様小山 賢一
所在地広島県広島市西区古江東町11-35
電話番号082-274-4010
営業時間12:00~15:00(L.O.13:30)/18:00~22:30(L.O.20:30) 定休日:毎週水曜日、第2・第4火曜日
業務内容フレンチレストラン
サイトURLhttp://jardin1990.com/
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取材時期2018年

※ このページ内の情報は、取材当時のものであり最新のものと異なる可能性があります。